Author: | ハンス・クリスチャン・アンデルセン | ISBN: | 1230000198407 |
Publisher: | Arao Kazufumi | Publication: | November 22, 2013 |
Imprint: | Language: | Japanese |
Author: | ハンス・クリスチャン・アンデルセン |
ISBN: | 1230000198407 |
Publisher: | Arao Kazufumi |
Publication: | November 22, 2013 |
Imprint: | |
Language: | Japanese |
ハンス・クリスティアン・アンデルセン(Hans Christian Andersen)
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アンデルセン作品集1 楠山正雄訳 全10作品
雪の女王、赤いくつ、人形のひいさま、しっかり者のすずの兵隊、ひこうかばん、野のはくちょう、小夜鳴鳥、幸福のうわおいぐつ、モミノ木、旅なかま
☆会話の部分やひとりごと部分の文字サイズが通常と違います。
☆初期設定の書体に癖があります。
読みずらいということであれば書体を、kindle上で明朝・ゴシックに変更してお読みください。
……………………………………………………
●標記1
「shift jis」対応外の文字は原則「image font」を避けUnicode対応フオントとしております。
●標記2
この作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)によってすでに作成されHP等にて既に一般公開されています。内容に関しましては、原著作者の著作上の意図及び著作を出版された出版社。さらに青空文庫等による制作上の意図と原則を尊重し、変換作業等の上は、最小限の改定に留まるように最新の注意を払っております
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作品ごとのご紹介(昨比の)頭の部分
雪の女王 SNEDRONNINGEN 七つのお話でできているおとぎ物語
ハンス・クリスティアン・アンデルセン HansChristianAndersen
楠山正雄訳
第一のお話 鏡とそのかけらのこと)
さあ、きいていらっしゃい。はじめますよ。このお話をおしまいまできくと、だんだんなにかがはっきりしてきて、つまり、それがわるい|魔法使(まほうつかい)のお話であったことがわかるのです。この魔法使というのは、なかまでもいちばんいけないやつで、それこそまがいなしの「|悪魔(あくま)」でした。)
さて、ある日のこと、この悪魔は、たいそうなごきげんでした。というわけは、それは、鏡をいちめん作りあげたからでしたが、その鏡というのが、どんなけっこうなうつくしいものでも、それにうつると、ほとんどないもどうぜんに、ちぢこまってしまうかわり、くだらない、みっともないようすのものにかぎって、よけいはっきりと、いかにもにくにくしくうつるという、ふしぎなせいしつをもったものでした。
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赤いくつ DERODESKO
あるところに、ちいさい女の子がいました。その子はとてもきれいなかわいらしい子でしたけれども、貧乏だったので、夏のうちははだしであるかなければならず、冬はあつぼったい木のくつをはきました。ですから、その女の子のかわいらしい足の|甲(こう)は、すっかり赤くなって、いかにもいじらしく見えました。)
村のなかほどに、年よりのくつ屋のおかみさんが住んでいました。そのおかみさんはせっせと赤いらしゃの古切れをぬって、ちいさなくつを、一足こしらえてくれていました。
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人魚のひいさま DENLILLEHAVFRUE
はるか、沖合へでてみますと、海の水は、およそうつくしいやぐるまぎくの花びらのように青くて、あくまですきとおったガラスのように澄みきっています。でも、そこは、ふかいのなんのといって、どんなにながく|綱(つな)をおろしても底にとどかないというくらいふかいのです。お寺の塔を、いったい、いくつかさねて積み上げたら、水の上までとどくというのでしょうか。そういうふかい海の底に、海のおとめたち――人魚のなかまは住んでいるのです。)
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しっかり者のすずの兵隊 DENSTANDHAFTIGETINSOLDAT
あるとき、二十五人すずの兵隊がありました。二十五人そろってきょうだいでした。なぜならみんなおなじ一本の古いすずのさじからうまれたからです。みんな銃剣をかついで、まっすぐにまえをにらめていました。みんな赤と青の、それはすばらしい軍服を着ていました。ねかされていた箱のふたがあいて、この兵隊たちが、はじめてこの世の中できいたことばは、「やあ、すずの兵隊だ。」ということでした。このことばをいったのはちいちゃな男の子で、いいながら、よろこんで手をたたいていました。ちょうどこの子のお誕生日だったので、お祝にすずの兵隊をいただいたのでございます。)
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ひこうかばん DENFLYVENDEKOFFERT
むかし、あるとき、お金持のあきんどがありました。どのくらいお金持だといって、それは町の大通のこらず銀貨で道をこしらえて、そのうえ横町の|小路(こうじ)にまでそれをしきつめて、それでもまだあまるほどのお金を持っていました。でも、このあきんどは、そんなことはしません。もっとほかにお金をつかうことをかんがえて、一シリングだせば、一ターレルになってもどってくる工夫をしました。まあ、そんなにかしこいあきんどでしたが――そのうち、このあきんども死にました。)
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野のはくちょう DEVILDESVANER
ここからは、はるかな国、冬がくるとつばめがとんで行くとおい国に、ひとりの王さまがありました。王さまには十一人のむすこと、エリーザというむすめがありました。十一人の男のきょうだいたちは、みんな王子で、胸に星のしるしをつけ、腰に剣をつるして、学校にかよいました。金のせきばんの上に、ダイヤモンドの|石筆(せきひつ)で字をかいて、本でよんだことは、そばからあんしょうしました。)
この男の子たちが王子だということは、たれにもすぐわかりました。いもうとのエリーザは、鏡ガラスのちいさな腰掛に腰をかけて、ねだんにしたらこの王国の半分ぐらいもねうちのある絵本をみていました。)
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小夜啼鳥 NATTERGALEN
みなさん、よくごぞんじのように、シナでは、皇帝はシナ人で、またそのおそばづかえのひとたちも、シナ人です。)
さて、このお話は、だいぶ昔のことなのですがそれだけに、たれもわすれてしまわないうち、きいておくねうちもあろうというものです。)
ところで、そのシナの皇帝の|御殿(ごてん)というのは、どこもかしこも、みごとなせとものずくめでして、それこそ、世界一きらびやかなものでした。)
なにしろ、とても大したお金をかけて、ぜいたくにできているかわり、こわれやすくてうっかりさわると、あぶないので、よほどきをつけてそのそばをとおらなければなりません……………………………………………………
幸福のうわおいぐつ LYKKENSKALOSKER
一 お話のはじまり
コペンハーゲンで、そこの東通の、王立新市場からとおくない一軒の家は、たいそうおおぜいのお客でにぎわっていました。人と人とのおつきあいでは、ときおりこちらからお客をしておけば、そのうち、こちらもお客によばれるといったものでしてね。お客の半分はとうにカルタ|卓(づくえ)にむかっていました。あとの半分は、主人役の奥さんから、今しがた出た、)
「さあ、こんどはなにがはじまりしましょうね。」というごあいさつが、どんな結果になってあらわれるかと、手ぐすねひいて、待っているのです。
……………………………………………………
もみの木 GRANTRAEET
まちそとの|森(もり)に、いっぽん、とてもかわいらしい、もみの木がありました。そのもみの木は、いいところにはえていて、日あたりはよく、風とおしも|十分(じゅうぶん)で、ちかくには、おなかまの大きなもみの木や、はりもみの木が、ぐるりを、とりまいていました。でもこの小さなもみの木は、ただもう大きくなりたいと、そればっかりねがっていました。ですから森のなかであたたかいお日さまの光のあたっていることや、すずしい風の吹くことなどは、なんともおもっていませんでした。また黒いちごや、オランダいちごをつみにきて、そこいらじゅうおもしろそうにかけまわって、べちゃくちゃおしゃべりしている百姓のこどもたちも、気にかからないようでした。こどもたちは、つぼいっぱい、いちごにしてしまうと、そのあとのいちごは、わらでつないで、ほっとして、小さいもみの木のそばに、|腰(こし)をおろしました。そして)
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旅なかま REJSEKAMMERATEN
かわいそうなヨハンネスは、おとうさんがひどくわずらって、きょうあすも知れないほどでしたから、もうかなしみのなかにしずみきっていました。せまいへやのなかには、ふたりのほかに人もいません。テーブルの上のランプは、いまにも消えそうにまばたきしていて、よるももうだいぶふけていました。
ハンス・クリスティアン・アンデルセン(Hans Christian Andersen)
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アンデルセン作品集1 楠山正雄訳 全10作品
雪の女王、赤いくつ、人形のひいさま、しっかり者のすずの兵隊、ひこうかばん、野のはくちょう、小夜鳴鳥、幸福のうわおいぐつ、モミノ木、旅なかま
☆会話の部分やひとりごと部分の文字サイズが通常と違います。
☆初期設定の書体に癖があります。
読みずらいということであれば書体を、kindle上で明朝・ゴシックに変更してお読みください。
……………………………………………………
●標記1
「shift jis」対応外の文字は原則「image font」を避けUnicode対応フオントとしております。
●標記2
この作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)によってすでに作成されHP等にて既に一般公開されています。内容に関しましては、原著作者の著作上の意図及び著作を出版された出版社。さらに青空文庫等による制作上の意図と原則を尊重し、変換作業等の上は、最小限の改定に留まるように最新の注意を払っております
……………………………………………………
作品ごとのご紹介(昨比の)頭の部分
雪の女王 SNEDRONNINGEN 七つのお話でできているおとぎ物語
ハンス・クリスティアン・アンデルセン HansChristianAndersen
楠山正雄訳
第一のお話 鏡とそのかけらのこと)
さあ、きいていらっしゃい。はじめますよ。このお話をおしまいまできくと、だんだんなにかがはっきりしてきて、つまり、それがわるい|魔法使(まほうつかい)のお話であったことがわかるのです。この魔法使というのは、なかまでもいちばんいけないやつで、それこそまがいなしの「|悪魔(あくま)」でした。)
さて、ある日のこと、この悪魔は、たいそうなごきげんでした。というわけは、それは、鏡をいちめん作りあげたからでしたが、その鏡というのが、どんなけっこうなうつくしいものでも、それにうつると、ほとんどないもどうぜんに、ちぢこまってしまうかわり、くだらない、みっともないようすのものにかぎって、よけいはっきりと、いかにもにくにくしくうつるという、ふしぎなせいしつをもったものでした。
……………………………………………………
赤いくつ DERODESKO
あるところに、ちいさい女の子がいました。その子はとてもきれいなかわいらしい子でしたけれども、貧乏だったので、夏のうちははだしであるかなければならず、冬はあつぼったい木のくつをはきました。ですから、その女の子のかわいらしい足の|甲(こう)は、すっかり赤くなって、いかにもいじらしく見えました。)
村のなかほどに、年よりのくつ屋のおかみさんが住んでいました。そのおかみさんはせっせと赤いらしゃの古切れをぬって、ちいさなくつを、一足こしらえてくれていました。
……………………………………………………
人魚のひいさま DENLILLEHAVFRUE
はるか、沖合へでてみますと、海の水は、およそうつくしいやぐるまぎくの花びらのように青くて、あくまですきとおったガラスのように澄みきっています。でも、そこは、ふかいのなんのといって、どんなにながく|綱(つな)をおろしても底にとどかないというくらいふかいのです。お寺の塔を、いったい、いくつかさねて積み上げたら、水の上までとどくというのでしょうか。そういうふかい海の底に、海のおとめたち――人魚のなかまは住んでいるのです。)
……………………………………………………
しっかり者のすずの兵隊 DENSTANDHAFTIGETINSOLDAT
あるとき、二十五人すずの兵隊がありました。二十五人そろってきょうだいでした。なぜならみんなおなじ一本の古いすずのさじからうまれたからです。みんな銃剣をかついで、まっすぐにまえをにらめていました。みんな赤と青の、それはすばらしい軍服を着ていました。ねかされていた箱のふたがあいて、この兵隊たちが、はじめてこの世の中できいたことばは、「やあ、すずの兵隊だ。」ということでした。このことばをいったのはちいちゃな男の子で、いいながら、よろこんで手をたたいていました。ちょうどこの子のお誕生日だったので、お祝にすずの兵隊をいただいたのでございます。)
……………………………………………………
ひこうかばん DENFLYVENDEKOFFERT
むかし、あるとき、お金持のあきんどがありました。どのくらいお金持だといって、それは町の大通のこらず銀貨で道をこしらえて、そのうえ横町の|小路(こうじ)にまでそれをしきつめて、それでもまだあまるほどのお金を持っていました。でも、このあきんどは、そんなことはしません。もっとほかにお金をつかうことをかんがえて、一シリングだせば、一ターレルになってもどってくる工夫をしました。まあ、そんなにかしこいあきんどでしたが――そのうち、このあきんども死にました。)
……………………………………………………
野のはくちょう DEVILDESVANER
ここからは、はるかな国、冬がくるとつばめがとんで行くとおい国に、ひとりの王さまがありました。王さまには十一人のむすこと、エリーザというむすめがありました。十一人の男のきょうだいたちは、みんな王子で、胸に星のしるしをつけ、腰に剣をつるして、学校にかよいました。金のせきばんの上に、ダイヤモンドの|石筆(せきひつ)で字をかいて、本でよんだことは、そばからあんしょうしました。)
この男の子たちが王子だということは、たれにもすぐわかりました。いもうとのエリーザは、鏡ガラスのちいさな腰掛に腰をかけて、ねだんにしたらこの王国の半分ぐらいもねうちのある絵本をみていました。)
……………………………………………………
小夜啼鳥 NATTERGALEN
みなさん、よくごぞんじのように、シナでは、皇帝はシナ人で、またそのおそばづかえのひとたちも、シナ人です。)
さて、このお話は、だいぶ昔のことなのですがそれだけに、たれもわすれてしまわないうち、きいておくねうちもあろうというものです。)
ところで、そのシナの皇帝の|御殿(ごてん)というのは、どこもかしこも、みごとなせとものずくめでして、それこそ、世界一きらびやかなものでした。)
なにしろ、とても大したお金をかけて、ぜいたくにできているかわり、こわれやすくてうっかりさわると、あぶないので、よほどきをつけてそのそばをとおらなければなりません……………………………………………………
幸福のうわおいぐつ LYKKENSKALOSKER
一 お話のはじまり
コペンハーゲンで、そこの東通の、王立新市場からとおくない一軒の家は、たいそうおおぜいのお客でにぎわっていました。人と人とのおつきあいでは、ときおりこちらからお客をしておけば、そのうち、こちらもお客によばれるといったものでしてね。お客の半分はとうにカルタ|卓(づくえ)にむかっていました。あとの半分は、主人役の奥さんから、今しがた出た、)
「さあ、こんどはなにがはじまりしましょうね。」というごあいさつが、どんな結果になってあらわれるかと、手ぐすねひいて、待っているのです。
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もみの木 GRANTRAEET
まちそとの|森(もり)に、いっぽん、とてもかわいらしい、もみの木がありました。そのもみの木は、いいところにはえていて、日あたりはよく、風とおしも|十分(じゅうぶん)で、ちかくには、おなかまの大きなもみの木や、はりもみの木が、ぐるりを、とりまいていました。でもこの小さなもみの木は、ただもう大きくなりたいと、そればっかりねがっていました。ですから森のなかであたたかいお日さまの光のあたっていることや、すずしい風の吹くことなどは、なんともおもっていませんでした。また黒いちごや、オランダいちごをつみにきて、そこいらじゅうおもしろそうにかけまわって、べちゃくちゃおしゃべりしている百姓のこどもたちも、気にかからないようでした。こどもたちは、つぼいっぱい、いちごにしてしまうと、そのあとのいちごは、わらでつないで、ほっとして、小さいもみの木のそばに、|腰(こし)をおろしました。そして)
……………………………………………………
旅なかま REJSEKAMMERATEN
かわいそうなヨハンネスは、おとうさんがひどくわずらって、きょうあすも知れないほどでしたから、もうかなしみのなかにしずみきっていました。せまいへやのなかには、ふたりのほかに人もいません。テーブルの上のランプは、いまにも消えそうにまばたきしていて、よるももうだいぶふけていました。