ドストエフスキー全書簡集1

Nonfiction, Religion & Spirituality, Philosophy
Cover of the book ドストエフスキー全書簡集1 by ドストエフスキー, 古典教養文庫
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Author: ドストエフスキー ISBN: 1230001700121
Publisher: 古典教養文庫 Publication: June 1, 2017
Imprint: Language: Japanese
Author: ドストエフスキー
ISBN: 1230001700121
Publisher: 古典教養文庫
Publication: June 1, 2017
Imprint:
Language: Japanese

……今日、十二月二十二日、僕らはセミョーノフスキー連隊の練兵場へ引かれて行きました。そこで僕ら一同は死刑の宣告を読み上げられ、十字架にキスさせられ、頭の上で剣が折られ、僕らは死装束(白いシャツ)を着せられました。それから、三人のものが刑の執行のため、柱のそばへ立たされました。三人ずつ呼びだされるのですから、したがって僕は二度目の番にあたっており、余命一分以上もなかったわけです。兄さん、僕はあなたを初め、あなたの家族全部を思い起こしました。が、最後の瞬間はあなただけ、ただあなた一人だけが僕の心に残りました。その時はじめて、なつかしい兄さん、僕がどんなにあなたを愛しているかを思い知りました! それからなお、そばにいたプレシチェーエフとドゥロフを抱きしめて、告別する暇がありました。とどのつまり、退却命令の太鼓が鳴ったと思うと、柱に縛りつけられた連中がつれ戻されて、皇帝陛下がわれわれに生命を与えてくださる旨が読み上げられました。それから、本当の宣告がくだったわけです。……
(1849年12月22日の兄ミハイル宛書簡より抜粋)

(「ドストエフスキー全書簡集」について)

この古典教養文庫版の「ドストエフスキー全書簡集」には次のような特長があります。

1、現在では使われない言い回しや言葉は、現在普通に使われる言葉に置き換えました。現代人には意味の取りにくい文は、平易な文に書きなおしました。しかし、その場合でも原訳の高い格調はできるだけ損なわないように最大限の配慮をしました。
2、原文で触れられた場所、人物、絵画などを中心に、関連する画像を、著作権フリーのものにかぎって、いくつか挿入しましたので、より興味深く読み進めることができます。
3、わかりにくい言葉や、登場人物、でき事、作品などについての適切な注を、編集者が割り注の形で入れましたので、本文の理解が深まります。

この「ドストエフスキー全書簡集」は全体を六巻に分けてあります。以下のように分かれています。
年毎に詳しい年譜をつけましたので、書簡集の内容を理解する手助けとなります。

ドストエフスキー全書簡集1
1832年(11歳)から1854年(33歳)まで
服役まで
ドストエフスキー全書簡集2
1855年(34歳)から1865年(44歳)まで
「地下室の手記」の頃
ドストエフスキー全書簡集3
1866年(45歳)から1868年(47歳)まで
「罪と罰」・「白痴」の頃
ドストエフスキー全書簡集4
1869年(48歳)から1873年(52歳)まで
「悪霊」・「作家の日記」の頃
ドストエフスキー全書簡集5
1874年(53歳)から1877年(56歳)まで
「未成年」の頃
ドストエフスキー全書簡集6
1878年(57歳)から1881年(死去)まで
「カラマーゾフの兄弟」の頃

この本は、その1にあたります。幼年期の最初期の書簡から、ペトラシェーフスキー事件に関与して逮捕され、服役を終えるまでの期間の書簡となります。
なお底本は以下のとおりです。

ドストエフスキイ全集 16
訳者 米川正夫
河出書房新社
昭和四十五年九月三十日 初版発行
昭和五十七年十月五日 第十版発行

(ドストエフスキー翻訳の金字塔!)

訳者米川正夫(1891—1965)は、岡山県に生まれました。1909年東京外国語大学ロシヤ語本科に入学、旧友の中村白葉などとともに『露西亜文学』を創刊します。1914年処女出版として新潮文庫からドストエフスキーの「白痴」を刊行開始しますが、この時は第四巻で中断の憂き目をみます。
その後幾つかの職を経験しながらも、1929年に白葉とともにトルストイ全集を岩波書店から刊行します。1935年の「罪と罰」を訳し、ドストエフスキーの五大長編をすべて訳し終わりました。
戦後は、個人訳による「トルストイ全集」(全23巻)と「ドストエフスキー全集」(全18巻)を刊行しました。
ドストエフスキーが日本にこれほど受け入れられたのは、この米川正夫による業績によるところが大きいと言われます。まさに金字塔と言えるでしょう。たとえば、小林秀雄はドストエフスキーについての評論を数多く書いていますが、そこに引用されているドストエフスキーはすべてが米川正夫のものによっています。また三島由紀夫の「仮面の告白」の冒頭引用されている、「カラマーゾフの兄弟」のドミートリーによる「熱烈なる心の懺悔」もまた米川訳によっています。

[#改ページ]
(古典教養文庫について)

古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。以下のような特長があります。

1、古典として価値あるものだけを
これまで長く残って来たもの、これから長く読み継がれていくものだけを選んで出版します。
2、読みやすいレイアウト
文章のまとまりを、適切な改ページで区切って、電子書籍デバイスはもちろん、スマートフォンやタブレットなどでの読書に最適化しました。またMacやパソコンでも読むことができます。
3、すばやい操作性
索引を付けましたので、目次から直接アクセスできます。
4、美しい表紙
プロのデザイナーによる美しい表紙をつけました。書籍と関連づけられた美しい表紙で、実際の本を読むような感覚に浸れます。
5、スピーディーな改版
紙の本と違い、誤植の修正や改訂などすぐに対応でき、刻々と進化を続けます。古典教養文庫のブログに書き込むことで迅速なレスポンスが得られます。

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……今日、十二月二十二日、僕らはセミョーノフスキー連隊の練兵場へ引かれて行きました。そこで僕ら一同は死刑の宣告を読み上げられ、十字架にキスさせられ、頭の上で剣が折られ、僕らは死装束(白いシャツ)を着せられました。それから、三人のものが刑の執行のため、柱のそばへ立たされました。三人ずつ呼びだされるのですから、したがって僕は二度目の番にあたっており、余命一分以上もなかったわけです。兄さん、僕はあなたを初め、あなたの家族全部を思い起こしました。が、最後の瞬間はあなただけ、ただあなた一人だけが僕の心に残りました。その時はじめて、なつかしい兄さん、僕がどんなにあなたを愛しているかを思い知りました! それからなお、そばにいたプレシチェーエフとドゥロフを抱きしめて、告別する暇がありました。とどのつまり、退却命令の太鼓が鳴ったと思うと、柱に縛りつけられた連中がつれ戻されて、皇帝陛下がわれわれに生命を与えてくださる旨が読み上げられました。それから、本当の宣告がくだったわけです。……
(1849年12月22日の兄ミハイル宛書簡より抜粋)

(「ドストエフスキー全書簡集」について)

この古典教養文庫版の「ドストエフスキー全書簡集」には次のような特長があります。

1、現在では使われない言い回しや言葉は、現在普通に使われる言葉に置き換えました。現代人には意味の取りにくい文は、平易な文に書きなおしました。しかし、その場合でも原訳の高い格調はできるだけ損なわないように最大限の配慮をしました。
2、原文で触れられた場所、人物、絵画などを中心に、関連する画像を、著作権フリーのものにかぎって、いくつか挿入しましたので、より興味深く読み進めることができます。
3、わかりにくい言葉や、登場人物、でき事、作品などについての適切な注を、編集者が割り注の形で入れましたので、本文の理解が深まります。

この「ドストエフスキー全書簡集」は全体を六巻に分けてあります。以下のように分かれています。
年毎に詳しい年譜をつけましたので、書簡集の内容を理解する手助けとなります。

ドストエフスキー全書簡集1
1832年(11歳)から1854年(33歳)まで
服役まで
ドストエフスキー全書簡集2
1855年(34歳)から1865年(44歳)まで
「地下室の手記」の頃
ドストエフスキー全書簡集3
1866年(45歳)から1868年(47歳)まで
「罪と罰」・「白痴」の頃
ドストエフスキー全書簡集4
1869年(48歳)から1873年(52歳)まで
「悪霊」・「作家の日記」の頃
ドストエフスキー全書簡集5
1874年(53歳)から1877年(56歳)まで
「未成年」の頃
ドストエフスキー全書簡集6
1878年(57歳)から1881年(死去)まで
「カラマーゾフの兄弟」の頃

この本は、その1にあたります。幼年期の最初期の書簡から、ペトラシェーフスキー事件に関与して逮捕され、服役を終えるまでの期間の書簡となります。
なお底本は以下のとおりです。

ドストエフスキイ全集 16
訳者 米川正夫
河出書房新社
昭和四十五年九月三十日 初版発行
昭和五十七年十月五日 第十版発行

(ドストエフスキー翻訳の金字塔!)

訳者米川正夫(1891—1965)は、岡山県に生まれました。1909年東京外国語大学ロシヤ語本科に入学、旧友の中村白葉などとともに『露西亜文学』を創刊します。1914年処女出版として新潮文庫からドストエフスキーの「白痴」を刊行開始しますが、この時は第四巻で中断の憂き目をみます。
その後幾つかの職を経験しながらも、1929年に白葉とともにトルストイ全集を岩波書店から刊行します。1935年の「罪と罰」を訳し、ドストエフスキーの五大長編をすべて訳し終わりました。
戦後は、個人訳による「トルストイ全集」(全23巻)と「ドストエフスキー全集」(全18巻)を刊行しました。
ドストエフスキーが日本にこれほど受け入れられたのは、この米川正夫による業績によるところが大きいと言われます。まさに金字塔と言えるでしょう。たとえば、小林秀雄はドストエフスキーについての評論を数多く書いていますが、そこに引用されているドストエフスキーはすべてが米川正夫のものによっています。また三島由紀夫の「仮面の告白」の冒頭引用されている、「カラマーゾフの兄弟」のドミートリーによる「熱烈なる心の懺悔」もまた米川訳によっています。

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(古典教養文庫について)

古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。以下のような特長があります。

1、古典として価値あるものだけを
これまで長く残って来たもの、これから長く読み継がれていくものだけを選んで出版します。
2、読みやすいレイアウト
文章のまとまりを、適切な改ページで区切って、電子書籍デバイスはもちろん、スマートフォンやタブレットなどでの読書に最適化しました。またMacやパソコンでも読むことができます。
3、すばやい操作性
索引を付けましたので、目次から直接アクセスできます。
4、美しい表紙
プロのデザイナーによる美しい表紙をつけました。書籍と関連づけられた美しい表紙で、実際の本を読むような感覚に浸れます。
5、スピーディーな改版
紙の本と違い、誤植の修正や改訂などすぐに対応でき、刻々と進化を続けます。古典教養文庫のブログに書き込むことで迅速なレスポンスが得られます。

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