by
オスカー・ワイルド, オーブリー・ビアズリー, 楠山正雄
Language: Japanese
Release Date: April 20, 2017
内容紹介
新約全書のこの有名な伝説(馬加伝第六章にもある)を、近代風の物語に書いたのはフローベールのエロディア(一八七七年)である。わがオスカー・ワイルドは一八九二年前後パリに滞在中、女優サラ・ベルナールのロンドン興行用に(異説もある)この作を(フローベールの小説によって)フランス語で書いて与えた。ところがイギリスの官憲は、経典の神聖を冒涜するという理由で上場を拒絶した。ワイルドのフランス語の原作を、更に彼の本国のイギリス語に訳したのは、作者の親友ダグラス卿で、これは一八九四年に出版された。それで二度ほど英国で小私演のあった後、一八九六年はじめてパリのテアトル・ド・ルーヴルで上演された。作者は例の色情の過失事件でレディングの獄中にいた。一九〇〇年に作者が死んでその翌年、ベルリンではじめてラインハルトによって演出され、それからこの芝居のすさまじい世界的流行がはじまった。リヒャルド・シュトラウスが作曲したオペラ(一九〇五年・ドレスデン)は一層この気勢を煽った。イギリスのビアズリーの怪奇な挿画をはじめ、サロメに関して一部門をなすだけの美術も作り出された。もちろん翻訳は各国語にわたっている。日本語だけでも十種以上の異訳があるはずだ。流布という点では、シェークスピア、ゲーテ以上だ。
初めに挙げた聖書の本文と、わたくしの訳した『サロメ』とを対比してよめば、ワイルドの芸術の特色はおのずから明かであろう。
楠山氏のあとがきより抜粋
耽美、退廃、幻想、背徳……世紀末文学の問題作を、楠山正雄の名訳と、ビアズレーの幻想的な挿絵でお届けいたします。サロメの挿絵18点+ワイルドの似顔絵を収録。固定型レイアウト。
※本書は、昭和4年発行『近代戯曲集』を底本にし、
テキストを新字新仮名遣いに改め、新たに図版等を加えて再編集したものです。
当社webサイトでも内容紹介をしていますので、ぜひ御覧下さい。
http://tapirus-sha.com/
著者紹介
オスカー・ワイルド(Oscar...